アイドリング不安定|車のアイドリング不調原因はバッテリー?プラグ?

エンジンをかけたまま車を停車中に、
エンジン回転数が上がったり下がったり、
エンジンの振動が大きくなったり。

アイドリングが不安定(不調)になるのは、
エンジンに何かしらの問題が起きていると考えられます。

エンジンが冷えているだけであれば、
時間が経つにつれてアイドリングは安定するようになるし、
もしくは、エンジンオイルを交換するだけで、
不安定なアイドリングが安定化することもあります。

けれども、スパークプラグ、エアクリーナーエレメント、
センサーなどのエンジン回りの部品が故障していた場合、
部品の交換・修理をしなければいけません。

アイドリングが不安定になる原因としては、
どんな部品が関わっているのか?

仮にアイドリングが不安定になっても、
どんな原因であれば、さしあたって、
エンジンに問題が起きていないと考えられるのか?

アイドリング不調の原因や対処方法などをまとめています。

アイドリング(エンジン回転数)とエンジン構造の関係

アイドリング(エンジン回転数)が不安定になる原因を説明する前に、
まずは、エンジン構造について簡単に説明をしておきます。

エンジンは大きく分けて
4つのサイクルを繰り返して運動しています。

  • 吸気
  • 圧縮
  • 燃焼
  • 排気

この4つのサイクルに合わせて、
様々な部品がスムーズに連動することで、
エンジンが安定して高速回転し、
車を走らせることができます。

アイドリングが不安定になってきた場合、
この4つのサイクルのどれか一つ、もしくは、
2つ以上に問題が起きていると考えられます。

吸気、圧縮、燃焼、排気の
それぞれのサイクルに関わっている部品があり、
部品に何らかの問題が発生することで、
アイドリングが不安定になることがあります。

たとえば、十分に吸気することができないまま、
圧縮・燃焼の工程に進んでしまうと、
ガソリンを燃焼させるために必要な空気が不足します。

燃焼の際、ガソリンに点火をしても十分な爆発力を得られず、
エンジンのピストン運動がスムーズにいかなくなり、
アイドリングが不安定になります。

アイドリング不安定時に起きる症状

インパネのメーター類に回転数を測るタコメーターも付いているなら、
回転数が乱高下したり低い状態になっていることが目で見てもわかり間sう。

他にも、アイドリングが不安定になると具体的に、
どういった症状が起きるのかというと、

  • エンジン回転数が上下して安定しない。
  • アイドリング時にエンジンから異音がしたりエンジン音が不規則になる
  • 信号待ちなどでDレンジ(ドライブ)で停止中、プルプルと車が前後に揺れる。
  • オートマにも関わらず信号待ちなどで停車中にエンストする

といった症状が見られます。

関連ページ:エンジン振動が大きい原因と対策|エンジン振動抑えるには添加剤?

アイドリング不安定・不調の原因

アイドリング不安定・不調が起きる原因としては、
少なくとも下記の部品が挙げられます。

  • スパークプラグ(ガソリンに着火させるプラグ)の汚れ・劣化・故障
  • イグニッションコイル(着火させるための高電圧を起こすコイル)の汚れ・劣化・故障
  • 燃料噴射装置(インジェクター・フューエルインジェクション)の汚れ・故障
  • 空気を取り入れるエアクリーナーエレメントが目詰まり
  • アイドリングを安定させるISCVの故障
  • バッテリーの充電不足・バッテリー不足
  • センサー類が故障している
  • エンジン内部に汚れがたまっている
  • エンジンオイルの汚れやオイル量の不足
  • 粗悪ガソリンを入れた

では、一つずつ詳しく見ていきますしょう。

スパークプラグ(ガソリンに着火させるプラグ)の汚れ・劣化・故障

ガソリン(正確にはガソリンと空気を混ぜた混合気体)に
点火させるためにスパークプラグという部品が使われています。

スパークプラグは混合気体に直接触れるので、
ガソリンに混ざった不純物や、
空気中のチリ・ほこりなどの汚れが
付着することがあります。

スパークプラグが汚れてしまうと当然、
点火しづらくなったり、十分に点火することができなくなり、
「燃焼」のエンジンサイクルに支障をきたすことになります。

スパークプラグはエンジンが冷えたまま走行したり、
何らかの原因で点火のタイミングがずれてしまったり、
混合気体のガソリン比率が高いといったことが原因で汚れが付着します。

また、スパークプラグはそもそも消耗品なので、
寿命によって電極消耗してしまい点火しなくなっていたり、
スパークプラグに十分な電力が供給されないといったことが原因で、
劣化・故障することがあります。

イグニッションコイル(着火させるための高電圧を起こすコイル)の劣化・故障

ガソリンに直接点火をするのがスパークプラグですが、
スパークプラグに電力を供給しているのが、
イグニッションコイルと呼ばれる部品です。

スパークプラグを着火させて、火花を生み出すためには、
25,000~30,000ボルトという非常に高い電圧が必要になります。

けれども、車に搭載されているバッテリーは
12ボルトの電圧しかありません。

そこで、イグニッションコイルという部品によって、
電圧を昇圧させる仕組みとなっています。

イグニッションコイルもスパークプラグと同様に消耗品なので、
車に長く乗り続けていたり、エンジンに負担をかける運転をすることで、
故障して交換の必要が出てきます。

燃料噴射装置(インジェクター・フューエルインジェクション)の汚れ・故障

インジェクター(フューエルインジェクション)とは、
燃料ポンプからガソリンを吸い上げ、
エンジン内部へ霧状に噴射する装置です。

フューエルインジェクションのことを現在はおおむね、
インジェクターと呼ぶのが一般的です。

一昔前のフューエルインジェクションは「キャブレター」と呼ばれ、
キャブレター式の車のことを「キャブ車」と呼ばれることがあります。

キャブレターの場合は、機械的にガソリンを噴射したり、
ガソリンの供給量をコントロールしているのに対して、
インジェクターの場合はコンピューターによって制御されています。

インジェクターを使うほうが、温度の高低などの環境要因に左右されず、
安定してガソリンを燃焼させることができます。

キャブレターの場合、不完全燃焼が起きやすく、
排ガスに有毒ガスが多く含まれることが多く排ガス規制に引っ掛かるため、
現在生産される車はほぼすべてインジェクターが使われています。

通常、4気筒のエンジンには4つのインジェクターが使われていて、
故障の場合は交換となります。

空気を取り入れるエアクリーナーエレメントの目詰まり

エンジン内に空気を取り込む際、空気中に含まれる
様々な汚れ(チリ、ホコリ、砂など)を取り除かなければいけません。

空気中の汚れがエンジン内に入るのを防ぐフィルター
の役割をしているのがエアクリーナーエレメントです。

車に長く乗り続ければ続けるほど、
エアクリーナーエレメントには汚れがドンドンたまっていき、
目詰まりを起こすようになります。

高圧のエアーを吹きかけて汚れを吹き飛ばすか、
エアクリーナーエレメントを交換して対処します。

関連ページ:車カビ臭い原因|カビ臭いエアコンを消臭・カビ除去掃除するなら?

アイドリングを安定させるISCVの故障

ISCV(アイドル・スピード・コントロール・バルブ)とは、
コンピュータがエンジンの負荷に合わせて
アイドリングを調節するための部品です。

エアコンを使ったり、ヘッドランプを点灯させたり、
車を動かすには、様々なタイミングで電力を必要とするものの、
必要な電力に応じてエンジン回転が上がったり下がったりするわけではありません。

そこで、出来の使用状況に応じて、ISCVが「電力が足りない」と判断した場合、
エンジンの回転数を上げて電力を供給するようにしています。

ISCVはいわば、自動で「アクセルをチョイ踏み」する装置のようなものです。

アイドリング中のエンジンに流れ込む空気のうち、
半分ぐらいはISCVを通過するため、
カーボンやホコリ、オイルといった汚れ付着するし、
故障することもあります。

ISCVが正常に機能しなくなることで、
電力コントロールとアイドリングのバランスが保てなくなり、
アイドリングが不安定になることがあります。

バッテリーの充電不足・バッテリー不足

バッテリーの充電が不十分だったり、
バッテリーのに十分な電力を充電できなくなっていると、
エンジンの回転数を自動で上げて充電しようとするため、
アイドリングが不安定になることがあります。

バッテリーの寿命は早くて2年、長くても5年と言われていて、
寿命が近づくと充電不足が起こりがちです。

バッテリーを充電するために必要なエンジン回転数は
2,000~3,000回転です。

それに対して、
アイドリング中のエンジン回転数は1,000回転程度なので、
アイドリングが不安定になる原因となります。

関連ページ:車バッテリー電圧低下の症状・対策|バッテリー寿命は何年で判断?

バッテリーの電圧低下は単なる電力の使い過ぎやバッテリーの劣化ではなくて、
車の発電機(オルタネーター)が故障している可能性も考えられます。

オルタネーターが故障していて交換が必要となった場合、
かなり大掛かりな修理が必要になります。

関連ページ:オルタネーター交換費用|オートバックスのオルタネーター交換工賃は安い?

センサー類が故障している

エンジンには様々なセンサー部品が設置されています。

たとえば、エアフロセンサーといって、
エンジン内に十分な空気が吸気されているかをチェックするセンサーや、
O2センサーといって、排気ガスに含まれる酸素の量を計測して、
ガソリンがきちんと燃焼されているかをチェックするセンサーもあります。

こうしたセンサー類が故障してしまうと、
吸気、圧縮、燃焼、排気のそれぞれのサイクルで動いている部品も、
正常に機能しなくなってしまうため、
アイドリングが不安定になりがちです。

センサー類が故障したり、
センサーが異常を検知した場合には、
エンジン警告灯ランプも点灯します。

エンジン内部に汚れがたまっている

エンジン内部に汚れがたまることで、
アイドリングが不安定になることがあります。

直噴タイプといって、
ガソリンを噴射するインジェクションが
ガソリンを燃焼させる燃焼室の内部に
設置されている車種に起こりやすい原因です。

直噴タイプの車の種類はそれほど多くはなくて、
2000年代のGDIエンジン(三菱)や、
D-4やDI・DDなどの呼ばれる直噴エンジンがあります。

メーカーで言うと、国産車であればスズキやマツダ、
外車だとアウディー・アルファロメオに多く見られます。

ガソリンの燃えカスなどの汚れが燃焼室内に蓄積することで、
正常な燃焼が妨げられます。

エンジン内の汚れを放置していると、
不完全燃焼によりさらに燃焼室内に汚れが蓄積していき、
アイドリング中にエンストするようになったり、
加速不足・排気ガスが黒煙を上げる、といった症状も起こります。

エンジン内部の汚れを抜本的に解消するには、
エンジンのオーバーホールやエンジン交換が必要になりますが、
洗浄作用のあるガソリン添加剤を使うことで、
ある程度の汚れを取り除くこともできます。

エンジンオイルの汚れやオイル量の不足

エンジンオイルに汚れがたまっていたり、オイル量が不足している場合、
エンジン部品がスムーズに連動できなくなり、
アイドリングが不安定になることがあります。

また、エンジンオイルに問題がある場合には、
エンジン振動が大きくなるなどの症状を伴うことも多いです。

仮にエンジンオイル不足がアイドリング不安定だった場合、
エンジンオイルとは勝手に増えたり減ったりするものではありません。

エンジンオイルの量が減ったということは、
どこからかエンジンオイルが漏れている可能性があります。

もし漏れたエンジンオイルが高温になったエンジンに付着したりすると、
ボンネットのあたりから焦げ臭い煙が出てくることもあります。

関連ページ:ボンネットから煙が焦げ臭い|エンジンから白煙・焦げ臭い煙の原因は?

粗悪ガソリンを入れた

不純物が多く混ざっている粗悪ガソリンを使った場合も、
不完全燃焼が頻発したり、エンジン内部やフィルタに汚れが蓄積し、
アイドリングが不安定になることがあります。

ガソリン価格が異常に安いガソリンスタンドで給油したときに、
結果的に粗悪ガソリンが使われていた危険性があります。

粗悪ガソリンが原因だった場合には、加速不足が起きたり、
排気ガスが黒煙となるといった症状も見られがちです。

故障以外でアイドリング不調が起こりやすいケース

エンジンに何らかの故障が生じているわけでないけれど、
アイドリングが不安定になりがちなタイミングというのがあります。

具体的には、

  • エンジンを始動したばかり
  • エンジンがキンキンに冷えている
  • エアコン(A/C)を一気にフルパワーにした
  • ヘッドライトを付けた
  • バッテリー交換したばかり

といったケースです。

バッテリー交換したばかりだとなぜ
アイドリングが不安定になるのかというと、
車に電気的に記録されていた学習機能が
リセットされてしまうからです。

エンジンは今やコンピュータで制御されていて、
車の状況に合わせて空気の流入量や
ガソリン噴射量などが補正されています。

バッテリー交換することで補正データがリセットされてしまい、
車の状況に合わせたエンジンコントロールができなくなり、
アイドリング不安定になることがあります。

運転していればそのうちアイドリング不安定は解消されるものの、
エンジン回りの部品が汚れていたり劣化している可能性があるので、
早目に点検してもらうことをおすすめします。

日ごろの点検の注意点

給油は満タンにしておこう

給油タンク内のガソリン(軽油)が少なくなればなるほど、
当然ですが、給油タンク内の空気の量も増えます。

給油タンクの内側の金属壁が空気に長時間さらされることで、
錆ができることがあり、この錆がガソリンに徐々に混ざる可能性があります。

つまり、エンジン内に少しずつ異物を混入させることになり、
アイドリングを不安定にさせることも考えられるので、
給油タンクはできるだけ満タンに近い状態にするのが良いです。

オーバーヒートさせない

エンジンの温度が高くなると、車がガクガクしやすくなり、
アイドリングも不安定になることがあります。

水温計が点灯したらできるだけ早くエンジンを停止させ、
エンジン温度を下げるべきです。

また、オーバーヒートを防ぐために、
冷却水のリザーバータンクの残量を
小まめに確認するようにしましょう。

関連ページ:ボンネットから煙が焦げ臭い|エンジンから白煙・焦げ臭い煙の原因は?

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