海賊とよばれた男は国岡鉄造の実話がモデル!映画も大ヒット

海賊とよばれた男

海賊と呼ばれた男の主人公は、
国岡鉄造

彼のモデルとなったのは、
出光興産の創業者である出光佐三

「黄金の奴隷になるな」という名言を残していて、
利益至上主義に走らず、常に信用を重んじたビジネススタイルが、
後の日章丸事件にも繋がるわけですね。

日章丸はイギリスの軍隊が海上封鎖する中、
危険を承知でイランに入港しましたが、この時には、
魚雷攻撃や威嚇射撃などはなかった模様です。

けれども、1942年、つまり戦前は豊後水道入口付近で
米潜水艦Trigger(SS-237)の雷撃を受け、
機関室に魚雷2本命中し航行不能になり火災が発生を経験しています。

戦時中は長く徴用船として日本軍に利用されていたわけですが、
こうした歴史も日章丸を語る上では欠かせないですね。

海賊と呼ばれた男を読むまでは、
恥ずかしながら、出光興産が純国産の企業
だったことすら知りませんでした。汗

昭和の立志伝的な側面もあり、
第二次大戦を経済戦争と捉えた側面もあり。

起業直後の奮闘ぶりはぜひ、
起業を目指す人に見てもらいたい反面、
逆にベンチャーを礼賛しすぎるところは、
危険な匂いがしてしまいます。

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出光佐三は松下幸之助やソニー盛田昭夫と並ぶ昭和の経済偉人

国岡鉄造(出光佐三)は
福岡で事業をやっている父親のもとに生まれ、
その後、父親の意に背いて進学を決意。

最初は就職するものの、
すぐに独立を果たし、
国岡商店(出光興産)を創業。

石油の取り扱いを開始するものの、
泣かず飛ばず

無条件で出資してくれた人には、
「いっしょに乞食になろう。」
と言われるほど追加で出資してもらった結果、
何とか経営が軌道に乗り始めます

その後は、満鉄(満州鉄道)への
必死の売り込みが功を奏して、
ビッグディールを見事に成立。

会社の規模は小さいながらも一躍、
石油(と言っても潤滑油)販売で、
大きなシェアを獲得します。

その後、軍部から
インドネシアの油田開発・管理・販売
などを任されるものの、
終戦に伴いすべてを失います

終戦直後はGHQによって、
石油の取り扱いが禁止されたため、
ラジオ修理などさまざまな仕事をして、
何とか食いつなぎます。

軍のタンクの底に残った石油を、
油まみれになって採掘する姿勢などが、
GHQなどに評価され、石油販売再開時には、
何とか販売権を獲得します。

ただ、戦前から戦後にわたり、
国内の官僚・ライバル企業
嫌がらせを受け続け
余計な苦労も続けています。

こうした経験を踏まえ、
最終的にはイランとの石油取引
秘密裏に進め、見事に貿易に成功。

イランとの石油貿易に関して、
旧支配国のイギリスが目を光らせていたものの、
事前の緻密な計画が功を奏して、
上手くやり過ごすことに成功

結局、イランとの貿易による売上が、
国岡商店を大きく飛躍させ、今日に至ります。

ちなみにイランは中東でも
親日国として知られています。

その理由まで知らなかったんですが、
こうした背景があったんですね^^;

エネルギー利権を軸に考えた第2次大戦

いったい、何年何月何日からが第二次大戦というのか?
第一次大戦の時に比べると、時期がはっきりしません。

  • ドイツがポーランドに侵攻したときか?
  • 日本が日中戦争を始めたときか?
  • 盧溝橋事件がきっかけか?
  • それとも真珠湾戦争を仕掛けたときか?

いずれにしても一つ言えることは、
日本は石油確保が甘かった
そんな戦争でした。
#負けて良かったのかもしれませんが。汗

真珠湾攻撃を仕掛けた時点で、アメリカとの国力を比較すると、
人工は10倍以上、石油の備蓄に関しては何と
777倍!もの差があったとか。

真珠湾攻撃では日本は、アメリカの太平洋艦隊に
大打撃を与えるものの真珠湾にあった石油備蓄基地は健在。

真珠湾攻撃の目的が、ハワイ諸島の占拠ではなくて、
艦隊への攻撃だったわけですから、
作戦が成功したといえば成功と言えます。

ただ真珠湾攻撃でいまだに賛否が分かれるのは、

  • なぜハワイ本島を占領しようとしなかったのか?
  • なぜ石油備蓄基地を攻撃しなかったのか?

この2点です。

1点目に関してはこの時、
日本はアメリカを戦争相手とみなしていなかった、
そんな見方をしている人が多数。

太平洋戦争を始めた理由はそもそも、
太平洋およびアジアを解放する
という目的だったから。

日本は戦前、ハワイから
アメリカに占領される前に、
日本に併合してくれ!
と言われていたくらいです。

それにハワイにも陸軍の師団がいくつかあり、
陸戦となるととても戦えるものじゃない。
そんな観測もあったようです。

国力の差も明らかでしたから、日本としては
アメリカとの全面戦争で決着をつけようとしたわけじゃなく、
あくまでも戦局が有利な時点で講和に持ち込んで、
日本の勢力拡大をもくろんでいたという見方もできます。

2点目の石油備蓄基地破壊に関しては、
これはもう、海軍の作戦ミスというか、
石油を甘く見過ぎてきた、
そんな風にしか考えられません。

真珠湾攻撃の直前、
日本はABCD包囲網を受けて、
石油の全面輸入が禁止されます。

いかなる国も日本に対して、
石油を輸出できなくなりました。

そのために日本は、
インドネシアへの侵攻をさらに本格化させます。

※真珠湾攻撃以前から、日本は欧米列強が植民地支配していた
東南アジアへの侵攻を開始しています。

インドネシアの油田開発に至るものの、
真珠湾でなぜ石油備蓄基地を攻略しなかったのか?

ここで石油備蓄基地をたたいていたら、
太平洋戦争はもう少し、変わった展開
を見せてきた可能性があります。

日本はこの後、
石油がどんどん乏しくになるにつれ、
戦況が徐々に逆転していきます。

  • レイテ沖海戦
  • ミッドウェー海戦
  • ガダルカナルの戦い

などなど、数々の失態を上げているものの、
その背景には、
石油不足による機動力低下
が関係しているという見方があります。

第二次大戦中の日本軍の作戦を見てみると、
軍部の作戦ミスを指摘する資料はよく見ますが、
石油に関して触れているものはありませんでした。

補給路が伸びきっていた、という話はよく目にしましたが、
石油を中心に第二次大戦を眺めてみると、
また違った視点でとらえることが出来ます。

起業家として国岡鉄造を見習うべきポイント

戦争の話は置いといて、
国岡鉄造(出光佐三)の歩んだ軌跡の中で、
ぜひ見習いたいポイントを。

小説の中盤から後半にかけては、
国岡鉄造の判断力・意志の固さ
みたいなものが鮮明に映し出されています。

そこに憧れを抱いてしまう
ところもあります。

ただ起業を目指すのであれば、そこだけじゃなくて、
むしろ国岡商店(出光興産)を起業した当初の、
船上で軽油販売をするまでの道のりこそ、
注目すべきです。

船上販売を始めたことから
国岡鉄造は海賊と呼ばれるようになり、
国岡商店が一気に盛りあがりを始めました。

ただそこに至るまでには、
資金難で倒産の危機に直面。

ようやく見つけた取引先からの売上も、
決して会社を黒字にするほどではありませんでした。

しかしそういった状況にめげることなく、
できることはとことんやりつくしたのが
国岡鉄造です。

ルイ・パスツール
という科学者が残した言葉として、

幸運の女神は、
準備を終えた者のところにしか
訪れない

In the fields of observation chance favors only the prepared mind.

原文:Dans les champs de l’observation le hasard ne favorise que les esprits préparés.

という名言があります。

起業して軌道に乗るまでは、
この名言の示す通り、
やるべきことをすべてやり切るしかありません。

それでもなお、
あきらめずに続けてようやく、
チャンスがやってくるわけです。

人事を尽くして天命を待つしかありません。

そこまで耐えられるかどうか?
逆に言うと、耐えられるだけの体力
残せるかどうか?

それが起業家に最初に求められる
1つ目の関門となります。

中には関門を経験することなく、
比較的すんなりと、
軌道に乗ってしまうケースがありますが、
いずれ何かしらの関門にぶつかるものです。

起業家として見習うべきじゃないポイント

小説化されると、当然ですが、
主人公は徹底的に美化されるものです。

国岡鉄造のことも、とにかく、
尊敬すべき昭和の偉人
という描写がされています。

国岡鉄造はまるで
哲学者・修道者のように
描かれていますが、
盲信するのはいけません。

国岡鉄造は家族経営を標榜しており、
社員を大事にしている様子は、
非常にこってり描かれていました。

しかしそれって、逆の見方をすると、
ブラック企業にありがちな風潮です。

社長がカリスマ性を帯びていて、
長時間労働をいとわない空気を作ってしまうと、
現代で言えばワタミみたいなものです。

国岡鉄造は確かに、
社員の首を自ら切ったことはない
かもしれないけれど、
社員が依願退職するケースはあったはず。

悪い見方をすると、
首を直接切らなくとも、
退職せざるを得ない状況へ追い込んだ
可能性はゼロじゃない気がします。

国岡鉄造という人物は、
確かに非常に魅力的だし、
この人についていけばなんとかなる!
と思わせてくれる人だったと思います。

しかしだからと言って、
国岡鉄造という人物を
神格化しちゃいけない。
国岡鉄造のやることを
すべて肯定するのも
見方が偏ってしまいます。

国岡鉄造の掲げた家族経営

  • 「就業規則は持たない」
  • 「社員は首にしない」

というのを
自分ならどう実現するか?

自分なりにアレンジしてみるべきですね。

 岡田准一で映画化大ヒット!

海賊とよばれた男は予想通り映画化されましたね。
下町ケットと同じ放送枠でドラマ化するような気もしましたが。

映画の方はまだ見ていないものの、
岡田准一さんがどのように国岡鉄造を演じているのか?
すごく見てみたいものです。

DVDを借りて見るか、テレビで放送されるのが早いか。。。

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