住民票移さないとどうなる?デメリットは罰金?理由は住民税?

引越しや単身赴任することが決まった場合や、
家の建て替えで仮住まいをすることになった場合。

追記

生活の拠点を移す準備をするだけでも大変ですが、
行政関係の手続きにもかなり手を焼かされますよね。

子供が小学生以上であれば転校手続きが必要になるし、
幼稚園や保育園なら転園手続きが必要。

他にも健康保険証や予防接種などなど、
やらなければいけないことがたくさんあり、
その中の一つに住民票の変更(転居届・転出届)もあります。

就職をして家族のもとを離れて一人暮らしする場合や、
家族全員で引越しをする場合には住民票は必ず移さないといけません。

けれども単身赴任であったり学生が一人暮らしをするケースでは、
住民票をあえて移さないという選択も考えられ、
法律的に考えても、違反に該当するわけじゃありません。

単身赴任や一人暮らしの引越しで住民票を移す場合・移さない場合で、
それぞれどんなメリットデメリットがあるんでしょうか?

住民票を移さないメリットは1つだけ

単身赴任や一人暮らしの引越しの場合、後で説明する通り、
必ずしも住民票を移さないといけないわけじゃありません。

住民票を移す手続き(転居届や転出届・転入届)を省くことができるものの、
住民票を移さないことのメリットは、たった1つしかありません。

単純に役所まで行って必要書類を記入したり、
役所で何十分も何時間も待たされるといった
手続きの手間がなくなることだけ。

関連ページ:転出届どこでもらえる?転出届どこに出す?どこでもいい?

関連ページ:転出届いつから出せる?転出届はいつまでに提出するのが有効?

特に引越しや異動シーズンともなると
手続きのために役所に来る人が多くなるので、
住民の多い市区町村では、
1時間以上待たされることも珍しくはありません。

しかも、たいていの自治体では役所の開庁は平日のみ。
(しかも12時から1時間は昼休み)

お昼休みの時間にも手続きが出来たり、
土日でも住民票手続きができる自治体もありますが、
第二土曜日の10時から~15時までといった感じで、
必ずしも便利とは言い難いものがあります。

住民票を移さないデメリットはたくさんある

住民票を移さないメリットとしては、
役所に行く時間をわざわざ作って、手続きの手間がないこと。

それに対して、住民票を移さないデメリットはたくさんあります。

ざっとあげていくだけでも、

  • 新住所で選挙権が行使できない
  • 印鑑登録(印鑑証明)などの証明書類も旧住所になる
  • 確定申告も旧住所を管轄する税務署になる
  • 新住所で行政サービス(補助・助成など)を受けられない
  • 新住所で所得証明などの証明書発行が出来ない
  • 会社の単身赴任向け手当がもらえない可能性がある
  • 住民票が必要なときに時間がかかる
  • 新住所に運転免許証更新通知が来ない場合

といった住民票を移さないデメリットがあります。

新住所で選挙権が行使できない

日本では2018年から18歳以上で選挙権を持てるようになりました。

国会議員選挙(衆議院選挙や参議院選挙)、
都道府県・市区町村の議員選挙で投票することができるし、
最高裁判所の裁判官の国民審査で罷免に投票することもできます。

25歳以上、30歳以上になれば被選挙権も与えられて、
選挙に立候補して出馬することもできますが、
選挙権も被選挙権も住民票のある自治体で有効となります。

住民票を移さない場合は当然、
単身赴任先・一人暮らし先の選挙に参加することはできません。

印鑑登録(印鑑証明)などの証明書類も旧住所になる

不動産・マンションや自動車などの高額取引をする場合、
公正証書も作成するのが一般的ですが、
押印している印鑑が本物であることを証明するために、
印鑑証明も必要になります。

印鑑証明の書類を発行してもらうにはあらかじめ、
住民票のある自治体で印鑑登録をしておかなければいけません。

つまり、印鑑証明というのは自治体ごとに管理しているモノなので、
引越して住所が変わった場合(住民票を異動した場合)には、
旧住所での印鑑証明は自動的に無効になってしまいます。

住民票を移さない場合には、旧住所の印鑑証明はもちろん有効ですが、
公正証書を作成することになったっ場合、
現住所と印鑑証明の住所が異なるせいで、
手続きが先に進まなくなってしまうことがあります。

確定申告も旧住所を管轄する税務署になる

サラリーマンであれば源泉徴収と年末調整で、
会社の方で一通りの納税を済ませてくれます。

ただ、妻の出産などで医療費控除を受ける場合や、
住宅ローン控除を受けるためには、
自分で確定申告をしなければいけません。

もしくは会社以外にも収入があり、
その収入に関してまだ所得税の納税をしていない場合も、
自分で確定申告の書類を作成して提出する必要があります。

会社を通じて納税した所得税に差額が生じた分を確定申告することで、
払い過ぎた分を還付してもらったり、
未納税分の収入に対する税金を追加で収めることになります。

この確定申告をするにあたっては、
住民票のある自治体の税務署で
手続きをする決まりになっています。

住民票を移さないで確定申告をすることになった場合、
わざわざ旧住所に戻って確定申告の手続きをしなければいけません。

ただ、確定申告は郵送での提出も認められているので、
確定申告書類の記入・作成や必要書類をきっちり準備できるのであれば、
旧住所に戻ることなく確定申告を済ませることもできます。

新住所で行政サービス(補助・助成など)を受けられない

様々な行政サービスというのは、
基本的に住民票のある自治体で受けることができるものです。

子供が義務教育中であれば住民票のある自治体で
公立学校に通わせることができます。

行政サービスとはちょっと違いますが、
千葉県民であれば「千葉県民の日」に
ディズニーランドにタダで入場できたりします。

他にも各種の住宅補助や育児関連の助成金なども、
住民票のある自治体で受けられるものです。

住民票を移さない場合、引越し先の自治体が提供している
行政サービスは受けられなくなってしまいます。

新住所で所得証明などの証明書発行が出来ない

個人の所得を管理しているのは
基本的に住民票のある自治体となります。

そのため住民票を移さない場合に所得証明が必要になった場合、
旧住所の自治体で発行手続きをしなければいけません。

他にも、様々な証明書の発行に関しても、
新住所で発行してもらうことはできません。

旧住所に行くのがどうしても難しい場合には、戸籍謄本のように
書類によっては郵送で申請できることもあるので、
一度、確認してみると良いですね。

会社の単身赴任向け手当がもらえない可能性がある

単身赴任する場合、
会社から帰省手当などが支給されたりしますよね。

会社からの単身赴任者向け手当を申請するために、
住民票の提出を求められることがあるようです。

住民票が旧住所のままだと、
せっかくもらえる手当を
受け取れなくなることがあります。

住民票が必要なときに時間がかかる

住民票を発行してもらえるのは、当然ですが、
住民票のある自治体となります。

何らかの手続きで住民票が必要になった場合、
旧住所で取り寄せなければいけないので、
書類取得に時間がかかってしまいます。

住民票も郵送で請求することはできるものの、
申請してから実際に住民票が返送されてくるまでの期間は、
1週間くらいの猶予を見ておいたほうが良いです。

住民票を移さないで旧住所のままにしておくと、
ほしいときにすぐに住民票が手に入りにくくなります。

新住所に運転免許証更新通知が来ない場合

運転免許を持っている場合、更新時期(自分の誕生日)が近付くと、
運転免許センターから運転免許証の更新通知はがきが送られてきます。

免許更新手続きをする際には、
更新通知はがきも必要書類になりますが、
更新通知はがきが送られてくるのは
免許証に記載されている住所になります。

自動車公安委員会が把握している住所は、
住民票の住所ではなくて運転免許に記載されている住所だからです。

住民票を移さなかったとしても、
運転免許の住所変更手続きをしておくと、
新住所の方へ更新通知はがきは送られてきます。

逆に言うと、住民票を移さないだけじゃなくて、
運転免許証の住所変更手続きもしないままだと、
古い住所の方に更新通知はがきが送られることになります。

運転免許の更新は、更新通知はがきに記載されている
指定の免許試験センターで手続きをする決まりになっていて、
古い住所の自治体にある免許試験センターが指定されています。

運転免許証のためにわざわざ遠くの
免許試験センターに行かなきゃいけなくなったり、
そもそも更新通知が届かなくて
免許証の更新を忘れて失効させてしまう可能性もあります。

住民票は移さないとしても、運転免許証の住所変更だけは、
手続きを済ませておいたほうが良いです。

住民票が必要となる証明書の発行など

住民票の提出が求められることがありますが、
具体的にはどんなケースが考えられるのかというと、

  • 就職・転職・バイトで雇用主に提出
  • マンション・アパート・貸倉庫など賃貸契約
  • 婚姻届の提出
  • 運転免許証を新規取得する
  • 住宅ローン控除を受ける
  • パスポート作成(住民票を置いていない都道府県で手続きをする場合)

といったものがあります。

住民票を移さない場合の罰則

住民基本台帳法という法律上では引越をして住所が変わった場合には、
14日以内に転居届もしくは転出・転入届を済ませて、
住民票を移さないといけない決まりになっています。

転入届・転居届に記入をする「異動日」から起算して、
14日以内が提出期限となります

2018年8月27日に引っ越しをした場合には、
2018年9月10日までに住民票を移さないといけません。

もし、14日以内に住民票の異動手続きを済ませなかったら、
5万円以下の罰金が過料されることがあります。

簡易裁判所が過料を科すかどうかを判断されるようですが、
実際には、よほど悪質な場合を除いては、
罰金を受けることはほとんどないようです。

住民票とは生活の拠点がどこか?を定めるためのモノですが、
生活の拠点を移動した日をはっきり決めきれないケースもあります。

荷物を徐々に新住所に移動していって、
徐々に新住所での生活を整えるケースもありますから、
悪意を持って住民票を移さなかった場合を除くと、
罰金を過料される心配はほとんどないでしょう。

住民票の異動が悪用されるのを防ぐ意味がある

法律でわざわざ「14日内に」と期限が設けられているのは、
住民票の異動を悪用されるのを防ぐためです。

脱税目的で住民票を異動させていないんじゃないか?
選挙で当選させたい人に投票するため、
もしくは自分に有利な選挙区で選挙に立候補するためなど、
といったケースが考えられます。

住民票を移さないくても済むケース

住民基本台帳法で住民票に関して規定されている条文には、

住民基本台帳法第22条」の一部抜粋
転入(新たに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下この条において同じ。)をした者は、転入をした日から14日以内に、次に掲げる事項(いずれの市町村においても住民基本台帳に記録されたことがない者にあつては、第1号から第5号まで及び第7号に掲げる事項)を市町村長に届け出なければならない。

住民基本台帳法第23条」の一部抜粋
転居(一の市町村の区域内において住所を変更することをいう。以下この条において同じ。)をした者は、転居をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。

といった記載が見られます。

法律で定められている以上、引っ越しで住所が変わった場合に
住民票を異動させるのはほぼ義務になるものの、
実は住民票を移さないでも良いケースもあります。

住民票とはあくまでも「生活の拠点」となる住所を示す書類なので、
単身赴任や学生の一人暮らしの場合には、
生活の拠点は旧住所の方だとみなすことができます。

単身赴任も学生の一人暮らしも、
そして家の建て替えで仮住まいする場合も、
その住所にずっと住み続ける可能性は低く、
いずれは旧住所に戻る可能性が高いと考えられるからです。

便宜上、世帯の構成員の誰かが一時的に生活の拠点を移すだけという場合、
住民票を移さなくても、法律上、問題はないとみなされます。

ただ、選挙の投票や各種証明書の発行などで、
住民票が必要になった場合には、手続きの手間が増えてしまうので、
その点には気を付けなければいけません。

住民票と住民税の関係 住民税未納に注意!

住民税は1月1日時点で住んでいる
(住所のある)自治体で課税義務が生まれます。

この時の「住所」とは、法律上では
住民登録地(住民基本台帳登録市)のことを指しています。

つまり1月1日時点で住民票のある自治体で
住民税を納めることになります。

扶養控除等申告書の住所は住民票と一致させること

自営業者であれば住民票のある自治体で確定申告書類を提出すれば、
所得税・住民税の納税手続きは問題なく終わります。

けれどもサラリーマンの場合には、
扶養控除等申告書に記載する住所に気を付けなければいけません。

扶養控除を受けるために、会社に提出する書類になりますが、
会社で納税関係の手続きを進めるにあたって、
扶養控除等申告書に記載している住所がベースになってきます。

つまり、住民票を移さないまま
扶養控除等申告書に単身赴任先の住所を記入してしまうと、
単身赴任先の自治体に対して住民税を納めることになり、
住民票のある自治体では住民税が未納とみなされてしまいます。

扶養控除等申告書には住民票のある自治体の住所を書くようにして、
余計なトラブルを起こさないようにしたほうが良いですね。

関連ページ:扶養中の子供の年金支払は年末調整・確定申告で控除できる?

住宅ローン控除中に単身赴任したらどうなるの?

新居を新築したばかりで住宅ローン控除を受けている場合、
単身赴任で住民票を移すと住宅ローン控除は受けられなくなる?

そんな疑問を持つ人もいますが、
単身赴任のように一時的に住所が変わる分には、
住民票を移しても移さなくても、
住宅ローン控除を引き続き受けることができます。

関連ページ:単身赴任の確定申告|単身赴任で医療費控除・住宅ローン控除は?家賃・旅費は?

住宅ローン控除を受けられるのは
「生活の拠点」として住んでいる家が対象となり、
一時的な引越しであれば、生活の拠点が変わったとはみなされず、
引き続き住宅ローン控除を受けることができます。

ただ、単身赴任ではなくて
家族全員が住宅ローン控除の住宅から引越しをする場合、
生活の拠点が完全に変わってしまうので、
住宅ローン控除は受けられなくなります。

数年後、新居に戻ってきた時点で、
住宅ローン控除の適用条件(年数)がまだ有効であれば、
住宅ローン控除を受けることもできます。

関連ページ:住宅ローン控除の確定申告で住民税計算と還付について

住民票の手続きは3パターン(転入・転出・転居届)

住民票を移す(異動する)にあたって、
転居届や転入届・転出届といった書類が必要になりますが、
引越しのパターンによって使う書類や書類の数が変わります。

1.転出届と転入届の2つが必要な場合

たいていはこのパターンが多くなるんじゃないかと思われます。

現在住んでいる自治体に対しては転出届を提出し、
引越先の自治体に転入届を提出するので、
最低2回は役所に足を運ばなければいけません。

「愛知県→東京都」のように
都道府県をまたいで引越しをする場合には、
転出届と転入届の2つが必要になります。

もしくは、

  • 東京23区内に住んでいて、別の東京23区に引越しする場合
  • 市をまたいで引越しをする場合

にも、転出届と転入届の2つが必要になります。

追記

転居届1つで済む場合

都道府県や市区町村をまたぐことなく、
同じ自治体内で引越しをするだけであれば、
転居届1つを提出するだけで手続きが完了します。

  • 「東京都板橋区」から「東京都板橋区」に引越し
  • 「大阪府枚方市」から「大阪府枚方市」に引越し

といったケースが該当します。

転入届1つで済む場合

少し特殊なケースになりますが、
転入届1つ提出するだけで手続きが済む場合もあります。

横浜市や札幌市、仙台市など区のある市(政令指定都市)で、
区をまたいで引越しをする場合には、
転出届は不要で転入届1つ提出するだけで済みます。

他には、海外赴任・海外駐在のためにいったん住民票をなくしておいて、
その後、日本に帰国してまた済み始める場合にも、
転入届だけを提出すればOKです。

転出届は郵送可。転入・転居届は郵送不可

行政関係の手続きでは、
戸籍謄本といった証明書の発行などを郵送で対応してくれることが多いです。

住民票の異動に関する手続きでも、
転出届は郵送で対応してもらえます。

それに対して転入届・転居届に関しては、
郵送では受け付けてもらえません。

引越をする本人もしくは代理人が必ず、
役所の窓口に行って手続きをしなければいけません。

住民票以外にやるべき手続きと節約アドバイス

何か特別な事情でもない限り、
単身赴任や一人暮らしをするにあたっては、
住民票を移さないよりは移したほうが良いでしょう。

住民票の異動の他にも、引越を機に考えたほうが良いことや、
注意したほうが良い点を挙げると、

  • インターネット契約を見直す良い機会
  • プロパンガスはボッタクリに注意!
  • 電気代は一括比較しておこう

といったものがあります。

追記