単身赴任の場合の住民税は扶養で二重?均等割の住民税は?

単身赴任をすると住民票も異動するかどうか?
も頭を悩ませることになりますが、
住民票の異動は、住民税と深いかかわりがあります。

関連ページ:住民票移さないとどうなる?デメリットは罰金?理由は住民税?

住民税は基本的に1月1日時点で住んでいる場所、
つまり住民票のある自治体に支払うことになるわけですが、
住民票の算出方法や納税方法が少しだけ複雑なので、
うっかりすると住民税未納・滞納をしてしまうことがあります。

妻が専業主婦で無収入だったとしても、
前年までは働いていた場合には単身赴任をしても、
妻の分の住民税は発生したりするので、
住民票の異動と合わせて単身赴任の住民税もしっかり抑えておきましょう。

住民税(市町村民税、都道府県民税)の算出・計算方法

住民税とは市町村民税と都道府県民税の2つを合わせたもので、
大雑把にいうと、所得の10%ほどが住民税で徴収されます。

所得とは収入から各種控除などを差し引いた後の金額です。

サラリーマンが適用できる控除には、

  • 給与控除
  • 扶養控除
  • 医療費控除
  • 住宅ローン控除

などがあります。

関連ページ:単身赴任の確定申告|単身赴任で医療費控除・住宅ローン控除は?家賃・旅費は?

均等割と所得割を合算した金額が住民税の税額

住民税の金額がどうやって決まるのかをもう少し詳しく説明すると、まず、

  • 所得割
  • 均等割

という2つの方法で算出した金額の合算が住民税となります。

所得割とはその名の通り、所得に応じて課税されるもので、
市町村民税は所得の6%、都道府県民税は所得の4%
といった感じで課税されます。

市町村民税と都道府県民税の税率が10%になるので、
住民税は所得の10%と言われることが多いです。

均等割とは、所得に関係なく誰もが一律で
負担しなければいけない住民税で、一般的には
都道府県民税で1000円、市町村民税3000円、
合計4000円が均等割りによる住民税負担となります。

平成35年までは東日本大震災復興財源として、
都道府県民税で500円、市町村民税500円が加算され、
先ほどの分と合わせて合計5000円が均等割りによる住民税負担となります。

さらに、自治体によっては、独自の均等割の住民税負担を制定していることもあるので、
住民税の均等割りの金額は4000円~6000円の幅になります。

ぐんま緑の県民税 500円
(平成26年度から平成30年度まで5年間)
導入の目的
県民共有の財産である豊かな森林環境を適切に整備し、保全していくための施策に要する経費の財源を確保するためです。

均等割と所得割のどちらも免除されるケース

住民税は基本的に所得がある限り税負担しなければいけません。

均等割は所得に関係なく算出されるわけですから、
そのまま考えると、無収入であっても均等割分の住民税は
納税しなければいけないことになります。

けれども、一定の条件を満たしている場合に関しては、
均等割と所得割のどちらの住民税も免除してもらえます。

生活保護を受けていたり、
障害者、未成年者で前年の所得が125万円以下の場合などは、
住民税が全額免除されます。

(1) 生活保護法による生活扶助を受けている人
(2) 障害者、未成年者、 寡婦又は寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下
(給与所得者の場合、年収204万4,000円未満)の人
(3) 前年の合計所得金額 (注1)が次の算式で求めた額以下の人
35万円×(控除対象配偶者+扶養親族の数+1)+21万円 (注2)

関連ページ:無収入の住民税はいくら?前年度収入なし・無所得の住民税は?

住民税の納付先は扶養控除等(異動)申告書の住所

単身赴任中の住民税の納付について、
最も気を付けなければいけないのが、
扶養控除申告書の記入方法です。

妻や子供などを自分の浮揚に入れている場合には、
年末が近くなると扶養控除申告書を記入して
提出するように言われますよね。

会社の経理で扶養控除申告書に基づいて扶養控除が計算され、
その年の所得がようやくはっきりします。

年末調整を済ませると、
毎月の給料から天引きされていた
税金の一部が還付されることが多いですが、
毎月の収入(所得)に対しては
扶養控除が適用されていなかったからです。

扶養控除はサラリーマンが利用できる数少ない節税対策の一つだし、
健康保険や年金などでも優遇してもらえるので、
単身赴任中であっても必ず提出しなければいけません。

ただ、扶養控除申告書の住所を記入するにあたっては、
住民票のある住所と一致させておいたほうが良いです。

経理の方では基本的に
扶養控除申告書に記入されている住所のある自治体に対して、
住民税を納税してしまうからです。

住民票を異動させないで単身赴任先の住所を書いてしまうと、
経理の方は単身赴任先の住所のある自治体に対して、
住民税を納めるように手続きを進めます。

つまり、住民票を置いている自治体に対して住民税が納税されなくなり、
住民税を未納・滞納しているとみなされる可能性があります。

会社の経理と税務署の方でお互いに確認を取り合いながら、
キチンと住民税の納税手続きをしてくれるかもしれませんが、
余計な手間やトラブルを防ぐために、
扶養控除申告書には住民票の住所を記入するのが良いです。

もしくは会社の経理に対して単身赴任中は、
扶養控除申告書にどこの住所を記入すべきか?を確認しておきましょう。

住民税は前年度分を当年度に、当年度分を翌年度に納税する

消費税は商品を購入した瞬間に(間接的に)納税しますし、
贈与税なども発生した時点でその都度、納税していきます。

所得税に関しても、サラリーマンであれば毎月の給料から天引きされるし、
住民税に関しても給与明細を見れば毎月の給料から天引きされているはずです。

ただ、住民税と所得税の異なるところは、
所得税はその月の収入(所得)に対して課税されるのに対して、
住民税は前年度の所得に対して課税された分を
当年度に支払う後払い形式となっていること。

たとえば2018年度(平成30年度)に発生した住民税は、
翌年の2019年度(平成31年度)に支払います。

住民税は所得の約10%(所得割+均等割)が課税されるわけですから、
この金額を12で割った分が毎月の給料から天引きされています。

2018年8月分の給料から天引きされる所得税・住民税は、

所得税:2018年8月の所得に課税された分
住民税:2017年度の所得に課税された分を12で割った分

といった感じになります。

単身赴任すると扶養家族も住民税を支払う義務がある?

住民税は均等割と所得割の2つがあるわけですが、
一定の条件を満たしている場合、先ほどふれたとおり、
均等割と所得割のどちらの住民税も免除してもらえます。

条件を満たしている限り、
単身赴任で住民票を異動させても異動させなくても、
扶養家族が住民税を負担しなくて良いものの、
いくつかのケースで住民税を負担しなければいけないケースもあります。

後で触れていきますが、家屋敷課税が発生したり、
新たに世帯主となった人が住民税の免除条件から外れる場合、
扶養家族であっても住民税を支払わなければいけません。

専業主婦でも住民税の支払いが必要なケース

専業主婦は基本的に住民税は課税されないと思って良いんですが、
唯一、気を付けなければいけないのが、前年度に収入があった場合です。

前の年にパートやアルバイトをしていたり、会社勤めをしていた場合には、
前年度分の所得に対する住民税を支払わなければいけません。

単身赴任で住民税は二重払いになる?

単身赴任をすると住民税を二重払いしなければいけない可能性があります。

住民票を異動した場合と移動しなかった場合で、
二重払いとなるケースが異なるんですが、
まず住民票を異動しなかった場合には家屋敷課税が発生することがあります。

家屋敷課税とは、その自治体に住所がなくても、
事務所や家屋敷があって生活や活動の拠点となっている場合に、
負担しなければいけない税金です。

家屋敷課税とは
個人住民税の均等割課税については、その市(区)町村内に住所はなくても、事務所、事業所又は家屋敷がある場合、その自治体から何らかの行政サービスを受けているという考え方から、一定の負担をしていただこうというものです。

http://www.city.hashimoto.lg.jp/kurashi_tetsuduki/zeikin/kojin/1363601810551.html

法律を見てみると、下記のように規定されていて、
(2)や(3)のケースに該当します。

地方税法第294条における市町村民税の納税義務者
(1)市町村内に住所のある人 ※「住所のある」=「住民票がある」と解釈します。
(2)市町村内に事務所、事業所、家屋敷があるけれど、住んでいない人
(3)市町村に住民票がないけど現在住んでいる場合 ※自治体が「住民票がある」と見なすと住民税の課税対象となります。

ただ実際には、(2)や(3)のケースに該当するのかどうか、
自治体によって解釈が異なるし、担当者によっても判断が異なってくるので、
ケースバイケースといった感じになります。

次に住民票を異動した場合に関しては、
扶養家族に対して先ほどの(2)や(3)のケースが適用され、
住民税が課税されることがあります。

妻は専業主婦で子供がまだ未成年で収入がほぼゼロの場合でも、
家屋敷課税が課税されることがあります。

世帯主が専業主婦なら住民税を二重払いせずにすむ?

夫婦共働きではなくて、収入があるのは「世帯主」である夫だけといった場合、
当然、住民税は世帯主に1人に対して課税されることになります。

ちなみに、単身赴任先で会社の寮に住んでいたとしても
住民票上では寮の部屋の「世帯主」という扱いになります。

単身赴任で夫だけ住民票を単身赴任先に異動させた場合には、
家族と住民票がバラバラになるわけで、元の住所では家族の誰かが新たに
住民票上の「世帯主」にならなければいけません。

世帯主になれるのは妻もしくは15歳以上の子供のどちらかです。

※住民票の異動手続き(転出届)をした時点で子供が15歳以下の場合、
自動的に妻が住民票上の世帯主になります。

住民税は世帯主に限らず収入がある人全員に課税されるわけですが、
新たに世帯主となった妻が専業主婦で、前年度の収入がなければ、
住民税を二重払いせずにすむ可能性があります。

15歳以上なら世帯主になる資格(権利?義務?)がある

子供が15歳以上だと世帯主になれるわけですが、
もし子供がアルバイトをしていて、ある程度の収入を持っていた場合、
住民税の免除が適用されなくなってしまう可能性があります。

住民税を節税することを考えるならば、世帯主は収入のない人、
もしくは収入の低い人を設定するのが良いですよ。

逆に言うと15歳未満の子供の場合には、
世帯主になることはできないので住民税の免除が適用されます。

関連ページ:夫の単身赴任と保育園保育料|住民票は?海外赴任は?世帯分離すべき?