車を停めている間は聞こえないけれど、
走行中にシャーという異音が聞こえてくるのは、
「ブレーキの引きずり」が起きていると考えられます。
ブレーキは一般的にブレーキペダルを踏むことで
ブレーキパッドをブレーキローターにこすり付け、
その際に生じる摩擦によって制動力を生み出すようになっています。
ブレーキペダルを踏まない限り、
ブレーキパッドとブレーキローターの間には隙間があるのが正常な状態ですが、
なんらかの原因でブレーキパッドとブレーキローターが
接したままになってしまうことがあります。
これがブレーキの引きずりと呼ばれる症状で、
車の走行中にシャーという異音がする原因になります。
ブレーキの引きずりが起きる要因としては、
ブレーキフルードの劣化
ブレーキピストンの劣化
ブレーキローター・ブレーキキャリパーの歪み
の3つが主な原因として挙げられます。
いずれにしても場合でも、
ディーラーか中古車修理工場などに車を持ち込んで、
ブレーキ周りの修理や部品交換をしてもらわなければいけません。
ブレーキ引きずりが起きている状態では、
ブレーキが正常に動作しているとは言えないので、
車検にも通らない可能性があります。
目次
ブレーキ 引きずりの原因と症状
車の走行中にシャーという異音が聞こえてくるのは、
高い確率でブレーキの引きずりが原因だと考えられます。
- 速度が速くなればなるほどシャーシャー異音が強く速くなる
- タイヤ(足回り)のあたりから聞こえてくる
という場合には、ほぼ間違いなく
ブレーキの引きずりが起きていると思われます。
ブレーキの引きずりとは、
ブレーキパッドとブレーキローターという2つの部品が、
常に接している状態のことを指しています。
私たちがブレーキペダルと踏んだときにブレーキパッドが動いて、
ブレーキローターへ押し当てることで制動力を生み出しています。
ブレーキローターはタイヤを回している車軸にくっついている部品で、
車の速度が速くなればなるほどブレーキローターも高速で回転するので、
シャーという異音も大きく速くなります。
ブレーキローターとブレーキパッドの間には、
本来であれば隙間が空いているはずです。
ブレーキをかけるには(ブレーキパッドをブレーキローターに押し当てるには)
ブレーキペダルを踏まなければいけませんが、
ブレーキペダルから足を離せば、ブレーキペダルは元の位置に戻り、
ブレーキパッドもブレーキローターから離れます。
ブレーキパッドは自然と「戻る」仕組みになっていますが、
ブレーキ引きずりが起きているということは、
常にブレーキがかかっているような状態です。
シャーという異音の原因であるブレーキ引きずりが、
なぜ起きてしまうのかというと、
- ブレーキピストンの劣化
- ブレーキフルードの劣化
- ブレーキローター・ブレーキキャリパーの歪み
という3つの要因が考えられます。
ブレーキピストンの劣化
高速で回転するブレーキローターにブレーキパッドを押し当てる際、
本来ならばかなり強い力をかけないと、摩擦力を生み出すことはできません。
ブレーキペダルを軽く程度ではブレーキローターに弾かれてしまうものの、
油圧ピストンを使うことでペダルを踏む力を何倍にも増幅させています。
ブレーキピストンを通じてブレーキペダルを踏む動作は
ブレーキパッドに伝わっているわけですが、
ブレーキピストンの動きが鈍くなってしまうと、
ブレーキ動作の連動が上手くいかなくなってしまいます。
ブレーキピストンの動きが悪くなってしまったせいで、
ブレーキペダルから足を離してもブレーキパッドが戻りきらず、
ブレーキローターと接したままになってしまうことがあります。
ブレーキフルードの劣化
ブレーキピストンの動きが鈍くなってしまうのは、
ブレーキピストン自体が劣化している可能性も考えられますが、
それよりもブレーキフルードの劣化が多いようです。
ブレーキフルードとは、ブレーキピストンの中で、
油圧を生み出しているオイルです。
オイルなので時間の経過とともに徐々に劣化していきますし、
ブレーキの使用頻度が多くなると劣化のスピードも速くなります。
ちなみに、短時間でブレーキを酷使すると、
ブレーキフルードの温度が高温になって、
ブレーキフルードの中に気泡が起きることがあります。
べーパーロック現象と呼ばれる症状で、
ブレーキの利きが非常に悪くなります。
ブレーキローター・ブレーキキャリパーの歪み
ブレーキパッドはブレーキキャリパーと呼ばれる部品の
先っぽにつけられています。
段差に無理に乗り上げて車の底をこすってしまった際など、
ブレーキローター・ブレーキキャリパーに物理的な衝撃を加えてしまい、
歪んでしまうことがあります。
ブレーキローター・ブレーキキャリパーの歪みによって、
ブレーキパッドとの隙間がなくなってしまい、
ブレーキ引きずりが起きてシャーという異音の原因となります。
ブレーキ引きずりの確認方法
ブレーキ引きずりが起きているかどうかを確かめる最も簡単な方法は、
オートマ車であればクリープ現象が起きるかどうかです。
エンジンをドライブ(もしくは危ないですがバック)にした状態で、
ブレーキから足を離しても車が動かなかったり、
車の動くスピードが極端に遅い場合には、
ブレーキ引きずりが起きている可能性が高いです。
もしくは、シャーという異音がするタイヤを空転させてみて、
ブレーキ引きずりが起きているか確かめる方法もあります。
車をジャッキアップさせて、タイヤを手で回転させてみます。
ちなみに前輪をジャッキアップする際は、
後輪が転がらないようにサイドブレーキを引いて輪留めもしましょう。
逆に後輪をジャッキアップしてブレーキ引きずりを確認する際は、
ジャッキアップ後にサイドブレーキを緩めておきましょう。
タイヤを手で回した時に、スムーズにクルクルと回転するなら、
とりあえずはブレーキは引きずっていないと考えられます。
けれども、タイヤがスムーズに回転せずに
「シュー」とか「シュルシュル」といった擦れるような異音がする場合には
ブレーキが引きずっていると考えられます。
ちなみに、ブレーキの引きずりが起きていると、
ブレーキダストというブレーキパッドとブレーキローターが
こすれることによって生じるカスが多く発生しているはずなので、
ブレーキローター周りの汚れがひどくなっているはずなので、
タイヤごとにの汚れ具合を確認・比較してみると良いですよ。
ブレーキ引きずりで車検は通らない?
ブレーキ引きずりが起きていてシャーという異音がする場合、
車検には通らないと思ったほうが良いです。
車検(24ヵ月定期点検)でも12ヵ月定期点検でも、
- ディスクとパッドのすき間
- ドラムとライニングのすき間
が点検の項目となっているからです。
ブレーキパッドがブレーキローターに接したままでは車検に不合格となり、
車検に通すためには修理が絶対に必要になります。
ブレーキの引きずりの放置は危険
ブレーキの引きずりが起きる前兆として、
ブレーキを掛けたときに「キーキー」という異音がすることも多いです。
キーキー異音の正体はブレーキパッドの摩耗が限界を超えている合図で、
ブレーキパッドを交換せずに車に乗り続けると、
ブレーキキャリパーとブレーキローター同士が直接こすり付けあってしまい、
ブレーキ周りに深刻な故障を招く危険があります。
ブレーキパッドが限界を越えてしまったら、
ブレーキをかけた時に金属同士がこすれあう
「ゴリゴリ」とした感触や、異音が伝わるようになります。
それだけではなくて車のスピードが速くなればなるほど、
どんどんハンドルが振れてくるようになるので、
運転に支障をきたす危険性も高くなります。
車検までまだ日にちがあったとしても、
ブレーキの引きずりの放置は危険です。
ブレーキ引きずり以外のシャーという異音の原因
タイヤを空転させてみたらスムーズに動くし、
クリープ現象にも問題ない場合には、
ホイールベアリングの摩耗が原因として考えられます。
ホイールベアリングとは、タイヤとホイールの間にあるリング状の部品で、
車軸に固定されているホイールが
タイヤの回転を邪魔しないようにしている部品です。
一般的にホイールベアリングの中には小さな金属製のボールが詰まっていて、
ボール同士が滑らかに回転し合うことで、
ホイールとタイヤの摩擦をなくす仕組みになっています。
ホイールベアリングが摩耗していたり破損してしまうことで、
タイヤの動きがぎこちなくなってしまい、
シャーという異音が発生することがあります。
ホイールベアリングの摩耗が原因だった場合、
ゴロゴロ・ゴーという異音がすることもあります。
シャーシャー異音・ブレーキ引きずりの修理
シャーシャー異音(ブレーキ引きずり)の原因が、
単なるブレーキパッドの摩耗であれば、修理費用はそれほどかかりません。
安く修理してくれるところなら部品代も合わせて、
1万円くらいでやってくれるでしょう。
ブレーキキャリパーやブレーキローターの交換も必要な場合、
部品代も安くはないし修理時間も長めなので作業工賃も高めになり、
タイヤ一か所の交換で4万円前後を見ておいたほうが良いです。
さらにブレーキフルードが劣化していて交換も加わると
ブレーキのオーバーホール(解体修理)に近い作業になってくるため、
総額で5万円くらいの修理費用を見込んでおいた方が良さそうです。